北京帰りのワセジョ

1年間の中国留学を終えたワセジョが、東京で綴る雑記。

【アジア最高峰】中国No.1 北京大学の授業とは?! ~春学期編~

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大家好!

いつもカフェだったりグルメだったり、、
食べ物の投稿ばかりについつい偏ってしまうので、
今回は留学生の本業学問編をお届けします。笑

 

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 早稲田大学が提供する長期留学プログラムは全部で5つのタイプがあり、
私は、Double Degree Programs(通称DDと呼ばれる)形式で北京大学に留学をしています。

Double Degree Programs(DD)
      本学在学中にダブルディグリーのカリキュラムを提供する大学に留学し、所定の要件を満たせば、卒業する際に本学の学位と留学先大学所定の学位の両方を取得できるプログラムです。留学先大学におけるダブルディグリー課程修了のためには、外国語に関する高度な読解力、聴解力、会話力が求められるため、参加希望者の語学力については特に厳格な審査を行います(早稲田大学留学センター公式HPより引用)
北京大学以外には、復旦大学シンガポール国立大学等にDD留学が可能。


 在学中の早稲田大学に加えて、留学先の北京大学の学位まで取得する為、渡航前から学内選抜試験に加えて、DD留学の為の特別授業・面接試験・課題等をこなし(通常の授業とは別。単位には非参入)、留学中も学位認定の基準をクリアする為に猛勉強する日々を過ごすことになります。

 


 先学期をなんとかギリギリで乗り越え、
中国にも慣れてきた今学期は少しは精神的に楽になるかなぁ~と思いきや、、、
相変らず余裕の無い、課題に追われる日々を過ごしています( ;∀;)

 


 日本や他の国の留学生が春休みをエンジョイしている間、
なんと2月26日時点春学期がスタートしており、既に9週目を終えました(早すぎて怖い)。。
 今学期は8科目24単位取得を目指していて、土曜日まで必修授業が入っているので、授業や課題をこなすうちに一週間が恐ろしいほど早く飛ぶように過ぎていきます。1つの授業あたり3時間連続なので、1日2科目ある日は終わった後の疲労度が凄まじい……

 


 今回は、各授業の面白い授業内容・課題等を紹介していくので、
北京大学への留学&普段の様子が気になる方は是非読み進めてみてください。
(※かなり文章量多いのでサクッと読み飛ばして頂いて大丈夫です!)

 

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1) 大教室編
 講堂並の広い教室で、100名~200名程度の学生と共に受ける授業。あまりの広さと人の多さに圧倒されること間違いなし。
※ただ、広すぎるあまり教授の声が聞こえにくく、途中から集中力が切れやすい。

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1.国際組織と国際法 【必修】
 夜9限~12限(21:30終了)。国際連合や非政府組織(NGO)など、国際的な組織の形態について理解を深めていく。受講学生は、驚異の200名越えを誇る圧倒的モンスター学級サイズ。そして、教授が留学生クラッシャー、、だったりする(留学生を狙ってランダムに指されることが多い)

 

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 先日の授業では、学生主体での模擬国連の会議を開催しました。
3人1組でランダムに振り分けられた国の代表団になり、一般討論・自由討論や交渉など話し合いを重ねたうえで、最終的には決議書を完成させます。

 

★模擬国連 Model United Nations
模擬国連は、1923年にアメリカのハーバード大学にて開催された「模擬国際連盟(Model League of Nations)」にその原点がある。国際政治の仕組みを理解し、国際問題の解決策を考える過程を体験できることから、教育プログラムとしても高い評価を受け、現在では世界中の大学・高校において授業に採用されている。
  模擬会議のプロセスを通じて、参加者は議論する国際問題や担当国の政策についての理解を深めると共に、国際機構の機能や構造、そして国連の可能性と限界を実感することができる。また、多国間外交や現代の国際関係を体験的に学習することによって、現代の複雑な国際政治の仕組みを理解することができ、さらにそのような複雑な国際政治を通して問題の解決策・対策を探ることによって、これからの国際社会に必要とされる人材の育成にも大きく寄与することになります。

引用:日本模擬国連駒場研究会HP http://jmun.org/munutility.html


また、主に4つの能力が鍛えられると言われており、
1.問題分析能力・論理的思考力
2.多角的視点・戦略的思考力
3.協調性・相互理解
4.Public Speaking 語学力
 

1つの国際問題をとっても、各国は異なる視点や切り口を持っていることを理解し、多角的な視野を養うことに繋がります。会議を通して主観的でなく客観的に国際問題への理解を深めることができるため、国際関係を専攻する学生としては非常に為になる授業でした。

 

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私は、イランを担当したのですが、国連での発言やイラン政府の政策等の資料を読み漁り(大体英語、それを中国語に翻訳)、発表に向けて要綱を準備していくプロセスの中で、今までの何倍もイランについて詳しく、また中東情勢や核問題、エネルギー問題等の理解が深まったと感じています。

 

ただ、事前準備に充てられる時間が僅か6日間のみで、
締切当日の深夜までチームメンバーで作業に追われてたり、、となかなか大変な課題ではありました笑

 

留学の同期は、ケニアスーダンといったアフリカの国々やレバノンなどの中東国家、またアメリカなどの大国を担当した学生もいて面白いラインナップでした。

 

 

2.比較政治学【必修】
 夜9~12限(~21:30)。秋学期に民族国家概論を担当した教授が引き続き担当。Pptのスライドが簡潔で、公邮(オンラインの授業連絡サイト)にアップしてくれるので助かってます。

 

★課題レポート&プレゼン
 世界の地域ごとに分かれてチームを組み、最終的にはプレゼンを行う。
事前課題として、2つ以上の国の政治体制を比較した2000字以上3000字未満のレポートが課される。

 

 私は、東ヨーロッパをテーマとして選び、ポーランドハンガリーの政治体制比較がテーマです。

 


3.世界の宗教と国際社会【必修】
 土曜日の早朝1限から3限という学生にはなかなか辛いスケジュール。
イスラーム教、キリスト教、仏教、ヒンドゥー教及びその他の宗教全般について学ぶ。


ヒンドゥー教の授業の際に、教授が紹介した映画がかなり印象的でした。
舞台は1930年代のインド、未亡人の女性をテーマにした実際の風習に基づく映画。

映画鑑賞『囚われの水』
 インド生まれの女性監督ディーバ・メータが、故国インドの女性たちに焦点をあてて書いた映画。撮影の際には、インドでのロケの許可が下りず、映画セットは破壊されて撮影地の変更を余儀なくされたり、上映の際にはヒンドゥー原理主義者のグループに上映館が襲われたりと、物議を醸した衝撃的な映画。
参考:http://www.a-happy.jp/blog/mari/2007/09/no63.html

 日本ではなかなか踏み入れづらい、敬遠されがちな「宗教」ですが、教養として身に着ける必要は十分にあると思います。

 

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2)上級生向け、ゼミ形式の演習科目編。
 演習科目であるが故に、グループワークがかなり多いのに加えてレポートが課されるハードな科目

 

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4.軍備制裁と軍隊 
 早朝1限~3限の授業。女性の教授。

核の保有問題や増大する世界の軍事勢力などの軍事問題について集中的に学ぶ。

★グループディベート
4つのテーマごとに、チームに分かれてディベートを行う。
  1.北朝鮮とアメリカの首脳会議は、朝鮮の核問題を解決するのか。
 2.日本は自主的な核開発を進めるべきかどうか。
  3.アメリカが低等量の核兵器開発を進めるにあたり、中国も類似した核兵器を開発するべきか。
  4.インド・パキスタン間対立は有限核戦争を発生させ得るか

 

 私は、テーマ4の印パ対立の核戦争発生の反対派チームに所属して、ディベートに向けて準備討論や資料作成を行っている段階です。インド・パキスタン間の対立には、お互いの国同士の違い(宗教や文化)や領土を巡る衝突だけでなく、植民地・戦争時代の大国間の影響が色濃く残っているので、世界情勢の中でも重要な問題の一つであると言えます。

 


5.欧州連盟概論
 EUについての理解を深めていく授業。女性の教授。

 

★グループ発表
 テーマに分かれて発表。留学生の意見をめちゃくちゃ求められる。
ヨーロッパにおいて、欧州の一体化が迅速に進んだ理由とその要因についてがテーマでした。既に、資料作成・発表は終了しましたが、週末の夜中にオンラインミーティングが開催されたり、直前までスライド作成に追われたりと、結構ハードでした。

★読書レポート
 リストにアップされた推薦図書の中から、本を選び、3000字程度の読書報告書を作成。
 

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3) 特定の地域に焦点を合わせて、集中的に学ぶ授業 編。
人数は最も少なくて10人程度。

学生数が比較的少ないので、授業の際に発言が求められることが多い。

 

6.東南アジアの政治経済と外交
 70人前後の中規模クラス。留学生がかなり多い授業で、助教も東南アジアの留学生。
教授は、中国と東南アジアを繋ぐ学術界での権威者だが、フランクで学生にも優しい。
ただ、クセが強い毎週の課題・発表など留学生クラッシャーな要素も多い。

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★毎週の課題
 毎週3種類の課題が課される点ではヘビーな授業。必ず授業前までに提出。

1.読書報告

 (2種類の本、40ページ前後)まとめを500字
2.ニュースリサーチ

 毎週東南アジアでの政治・国際情勢のニュースをチェックして報告
3.創作課題 

今年から課題がグレードアップし、北京大学清華大学にある東南アジアに関連した要素を見つけ出して研究。また、グループでの創作課題の発表についての研究も進めていく。

 

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そもそも、毎週課題内容が変化して、読書報告だけでも留学生にとっては苦しいのに、新聞をチェック、かつ校内の東南アジア要素を探し出すという作業を毎週繰り返していくことはもはや苦行に近い。授業楽しいから良いけど、、、、
 

★グループでの創作発表
  教授が学生の創意工夫を大切にしている方で、自由な発想に基づいた発表を求められる。3-4人のグループでテーマを決めて独自研究を進める。

  私のグループは、<東南アジア華僑・華人と日本の華僑・華人の社会における差異>を研究テーマに決めて、リサーチを進めている段階です。

 

★授業グループでの発表
 ランダムに振り分けられた6人前後のグループで、授業当日に行った内容に基づく発表を行う。

前回は、北京のミャンマー人留学生を探し(!?)、彼らにインタビューをして、それに基づく発表を行いました。ミャンマー人探し、アポ取り、週末のうちに、インタビュー・文字起し・発表まとめを行うという、、、締め切りが1週間も無いのが衝撃。

 

★wechatグループ
 全ての授業グループの中で最も更新が活発。
授業の課題・グループ発表の事務連絡を始め、東南アジアのニュースや学会、講演会の情報、また大学内の東南アジア要素を誰かが発見するたびにグループが動く。深夜・週末といったオフの時間帯を問わずに通知が来るので、内容を追っていくだけで精一杯。

 

 

7.東欧国家概論
 早朝1限スタートの影響もあり、クラス人数が最小。
18人いるはずなのに、毎回10人前後しか教室にいない、、、あれれ。
教授は淡々と授業を進めるが、学生同士のディスカッションが突然白熱することも。

 

東ヨーロッパに関する知識がかなり少なかったが、この授業のお陰でソ連の影響下にあった時代やバルカン半島情勢など東欧についての理解が深まるきっかけにはなりました。

 

★グループ発表 ×2
人数が少なすぎる故にグループ発表の負担割合がかなり大きくなる。また留学生の発表・発言はほぼ必須。東ヨーロッパの比較政治・経済・宗教や文化などがテーマ。こちらも、締め切りまで1週間無かったのでグループミーティング日曜日の夜に開催されました、、オフが無い。。。そして、グループ発表、危うく毎週課されるところでしたが、学生の反対に合い、負担が軽減されることになりました。

 

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遂にラスト!
8. 英国政治経済と外交
 前学期の戦略分析と同じ教授が引き続き担当。大陸以外の生徒(留学生・香港・台湾)生への配慮をしてくれることも多い。とても凝ったパワーポイントを準備しており、映像資料や音楽資料まで準備している。1スライドあたりの文字量は最多かも、、、もはや見えない。。

 

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★課題レポート
ポール・ケネディの『大国の滅亡』ジョエル・モキール『経済発展の文化:近代経済の起源』、A Culture of Growth: The Origins of the Modern Economy (Graz Schumpeter Lectures)を踏まえ

 1.  政治分裂がヨーロッパの決起をどのように引き起こしたのか分析。
2. 学術界におけるモキールの評価について論述。

3.『絶対主義国家の系譜』を参考にして、テューダー王朝の時代、イギリスがフランスとスペインに比べて王権の権力が弱かった原因を、官僚や軍備の観点に着目して考察。

 

といってレポートが課されていて、
現在はまだ文献に目を通している段階です、、締め切りやばい!

 


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ここまで読んでくださった方がいるのかは謎ですが、
約6000字(!!!)でばーーーっと今学期の授業紹介をしてみました。

 


毎週の課題やグループワークの多さは、日本の大学と大きく異なる点の一つかもしれませんね。北京大学生、テスト期間以外でも図書館や空き教室に籠って勉強してるし、グループワークに手を抜かないあたりがガチさを感じる。。。

 

  正直、今学期も全然楽ではないし、全て放り投げて、どっかに逃げたくなる日々ですが、、、目を背けていても課題は何も進まないし、何より課題の締め切りに常に追われているので、そんなことも考える余裕が無いのが現実ですね。ああ、、、

 

この経験が自分の糧になって、力になることを祈るばかりです。。。涙

 


 自分が、「忙しい人」「勉強大変アピール」って思われるのは好きじゃないので、いつもは勉強以外のテーマの写真を多く上げたり記事にして紹介しているのですが、カフェとかの写真や記事を上げ過ぎて”カフェ巡りの人”って思われるのもなんだかなぁ~と思ったのでこの機に特集してみました。笑(ちゃんと学生してますよ!)

 

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 いつも以上に情報量の多い記事を読んでくださってありがとうございました。